12月の星空を撮る



御嶽山から昇る 2023年最後の満月
-金生山-







御嶽山から昇る 2023年最後の満月


2023年最大の天文イベント「ふたご座流星群」は、悪天候で残念な結果となった。しかし意外というか、月や惑星をめぐる天文現象は天候に恵まれることが多かった

2月23日が宵の明星に三日月と木星の接近、3月2日は宵の明星に木星が大接近、2月23日は月齢3.5の月とふたご座のカストルとポルックスの集合が見られた。9月29日の中秋の名月は快晴の夜空に輝き、10月29日は部分月食、11月25日は月と木星が大接近した。そして12月27日が今年最後の満月と、これらはいずれも天候に恵まれて撮影することができた天文現象だ

ペルセウス座流星群とふたご座流星群は悪天候のため惨敗だったが、オリオン座流星群の火球は、その一部を撮影に成功しただけだったが、目の覚めるような大火球が見られただけでも満足

2024年はまずまずの条件が想定されるペルセウス座流星群以外は、なんともかんとも残念な年になりそう。2023年9月に5晩徹夜の末に撮影した西村彗星に続いて、短周期彗星の回帰や肉眼等級にまで増光すると期待される非周期彗星に期待するしかなさそう
ただしこのような年だからこそ、普段は見向きもしないような小規模な流星群などの観察に力を入れよ、ということか

さて年が明けると年初のしぶんぎ座流星群。月明かりに負けずに、1つでも撮影できるかどうか、ダメ元で新年の運だめし

----------------------------------------------------

342mm、ISO400、f5.6、1/50秒、マニュアルWB、Raw
高感度NRはoff、長秒時NRはoff、三脚で固定撮影、金生山
SONY α7RM5 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS

2023年12月27日16時52分






2023 ふたご座流星群






雲の隙間を流れる ふたご座流星群

----------------------------------------------------

14mm、ISO1600、f208、30秒、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影、揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM

2023年12月12日23時32分










シリウスへ流れる 散在流星


気象予報どおりに23時30分を過ぎて快晴となった。月のない新月期、次の黄砂の飛来予想までまだ半日あるためシーイングは比較的よい
ただし結露は酷く、車のフロントガラスを見ると湿度が高いことがわかる。ただし前夜のように霜が降りて三脚がカリカリになるということはなかった。外気温も10℃近くあり、この時期とは思えない

上の写真は冬のダイヤモンドを写野の右に置き、左上の樹林から右下へと冬の淡い天の川が横切っている。樹林近くにはペルセウス座の二重星団hχが見える。星巡りの季節は秋から冬

北東から北斗七星が7星とも立ちのぼるのを見届けて、2時過ぎに撮影を終了
ふたご群に属する流星は、撮影時間帯では少なかったが、散在流星はよく流れた。写真はオリオン座からおおいぬ座のシリウスに向かって流れた散在流星。この他にも写野外だが、流星がいくつも流れた。中にはマイナス等級の明るいものもあった。やはり、月のないことと晴れていることが大きい

極大の夜に悪天候が避けられないらしい今年のふたご群。たぶんその前夜がワンチャンスとなりそう
運を天に任せるしかない

----------------------------------------------------

12mm、ISO3200、f2.8、30秒、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
高感度NRはoff、長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影、揖斐谷
SONY α7RM5 + FE 12-24mm F2.8 GM

2023年12月10日00時09分










2023 ふたご座流星群


ふたご座流星群(Geminids)の頃は極寒となることが多い。寒いだけならいいが、冬型の天候となるため揖斐谷では、ふたご群はほぼ絶望的な年も多い
冬型の天候なら星空を求めて太平洋側へ遠征すればなんとかなるが、今年のように南からの暖湿流が列島を覆い始めると、寒くないのはいいけれど星空観望では好ましくない。おまけに春のように黄砂が降り注ぎ、昼間の視程はどれぐらいだったのか、ずっと黄砂で煙っていた。8日の深夜になってようやく夜空のシーイングがよくなってきた。つくづく不思議な年だ

ふたご群は12月4日頃から12月17日頃にかけて活動が認められる。2023年の極大予想は15日04時15分(JST)でこれは太陽黄経が262.2度となる時刻。また太陽黄経262.1度で極大を迎える年もあり、この場合は15日01時53分(JST)と予想されている。14日深夜から15日未明にかけての天気予報は、残念ながらほぼ絶望的
またZHR(Zenith Hourly Rate 、 天頂出現数)10以上の活動が見られるのが、12月9-10日から16-17日頃とされている。上の写真は12月08日23時50分の撮影だから、ほぼ活動が顕著になり始める頃と考えられる

写真のほぼ中央にふたご座のカストルとポルックス。やや明るく赤味がかかっているのがポルックスでカストルは青白いので肉眼でも容易に識別できる
カストル付近から短経路の流星が右上に流れた。2023年ふたご群最初の1枚

写真の右下に航空機の識別灯が写っていたので、少しトリミングしている。σクリッピング処理は膨大なリソースを食うので、今回は処理は割愛した

----------------------------------------------------

14mm、ISO1600、f2.0、30秒、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影、揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM

2023年12月08日23時50分










ぎょしゃ座を横切る 散在流星


夜になっても黄砂の影響は続き、靄がただよったような星空。せっかくの新月期を前に、とため息をついているといきなり流星が流れた
あっと声を上げるが、ふたご群に属する流星ではなく散在流星だった

雲のような黄砂が写っているが、ふたご座の下にはかに座のプレセペ星団が見られる
つくづく黄砂が恨めしい

----------------------------------------------------

14mm、ISO1600、f2.0、30秒、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影、揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM

2023年12月08日22時33分








イルミネーションを見下ろす 木星









イルミネーションを見下ろす 木星


12月に入って各地でイルミネーションが点灯されるようになった
まばゆいのを通り越して目に突き刺さるようなイルミネーションには、興味が湧かないのを通り越して閉口するしかない。夜間車を運転していて光軸がずれているとしか思えないようなLEDヘッドライトなども、病気持ちの自分には堪えられない

町の小さなイルミネーション
今年は昨年よりも規模が縮小されたようで、ひっそりと灯っている
見る人は誰もいない
これなら、いい

ふと空を見上げると月出前の夜空に星が輝いている
ひときわ明るいのが木星。その下にくじら座の星々が連なる

イルミネーションと星空を一緒になんて撮れると思ったことはなかったが、これだったら撮れるかもしれない
主役は木星と決めて、手持ちで撮る
通常ピントは恒星の、しかも1等星は避けて2~3等星を利用してマニュアルで合わせる。この時の木星は-2.8等と明るいばかりか、木星は恒星と違って地球からの距離が近くて恒星のような点光源ではない。そこで、くじら座の恒星を使ってピントを合わせる。すると木星の左右に微光星が輝きだした。ガリレオ衛星だ。そこでガリレオ衛星の輝きを利用してピントを合わせる。昔のレフ機の時代には考えられなかったことだ

上の写真は木星の部分を切り出したもの
この時のガリレオ衛星は木星の右側、遠い方からカリスト、その左にガニメデ、木星の左にはエウロパ。イオは木星の向こう側を周回しているので写っていない
この時のカリストは5.7等、ガニメデは4.8等、エウロパは5.3等。木星に隠れていてるイオは5.0等

手持ちで撮ったイルミネーションにガリレオ衛星が写っている
これも昔には考えられなかったことだ

星の輝きに勝る夜の輝きは、ない

----------------------------------------------------

35mm、ISO3200、f1.4、1/30秒、マニュアルWB、Raw
長秒時NRはoff、手持ちで撮影、美濃平野部
SONY α7RM3 + FE 35mm F1.4 GM

2023年12月04日18時15分